花の3分法話
第13番札所 大聖寺 福田寺大英住職による
『沙羅(サラ)の花物語』3分法話
平家物語冒頭にあります『衹園精舎の鐘の声……沙羅双樹の花の色……』。この文節は、つとに有名です。
「沙羅(サラ)」(別名/夏椿)は、「婆羅(シャラ)」とも称され仏教三聖木を代表する樹木として我が国の寺院境内にみることができます。
「婆羅」の“婆(シャ)”は、梵語saの音訳で、私たちが日々生活する現世(この世)を仏教では、“娑婆(シャバ)世界”と称し、僧侶が常着する「袈裟(ケサ)」も同じ由来と言われています。
この“娑婆世界”に住む私たちの心に、百八つの“煩悩(ボンノウ)”が存在すると人々に説法すれば、「毎日、何不自由なく便利な生活している私たちの心に百八つも“煩悩”が存在するなんて信じることができません……。いくら考えてみても、せいぜい無病息災、家内安全、交通安全、商売繁盛……強いて願うなら宝くじ3億円が当たりますようにくらいです」。皆さま、ほぼ同様のお答えに苦笑いです。
“煩悩”とは、「一切の欲望・執着・こだわり・怒り・ねたみ」など、人間の善くも悪くも無意識のうちに持つ欲望、願望を含めた総合数が「百八つ煩悩」であることを改めて説明すると、ご理解いただけるのか「“煩悩”が百八つでは足らないかもしれない」と神妙な面持ちへと変わります。
「山陽花の寺霊場会」の清麗純白のシンボル花である「沙羅」は、百八つの煩悩世界を舞いめぐり……やがて散り逝く現代社会における私たちの「心を象徴する仏花」として篤い想いが込められています。
そして大自然に対する敬虔な祈りとともに、今秋より霊場加盟24か寺寺院が一体となり各仏刹境内に「沙羅」を植樹して参ります。
御仏(みほとけ)の経風に誘われ、「山陽花の寺霊場」をめぐる「心の旅」は、山陽路を清らかに彩る四季折々の花々や、さまざまな御仏に“で愛(あ)い”、そして“ふれ愛(あ)う”ことのできる「ゆたかな季(とき)をめぐる人生の旅」でもあります。
皆さまのご参詣を心よりお待ち申し上げます。